第4回キャリアアップ講座「仕事はつくるもの ~フリーランスの仕事獲得術~」を開催しました。
就職活動というと、会社に入るための就職活動は何となくイメージありますが、フリーライターやフリーのイラストレーターなど、「フリー」の仕事についている人はどんな風にその仕事に就いたんでしょうか?こんな疑問もつことありますよね。
10月5日(土)、フリーライターの池紀彦先生をお招きして、第4回キャリアアップ講座「仕事はつくるもの ~フリーランスの仕事獲得術~」を開催しました。この講座では、池先生や先生の周囲の人たちのことを例にして、「フリーの」仕事をどんなふうに手に入れたか、手に入れるかを解説していただきました。
池先生のご講演、まずは先生の雄姿(?!)にびっくりした方が多いのではないでしょうか。これは、「Grand Theft Auto」というゲームに登場するキャラクターの衣装そのままで、一度これで登場したところものすごく受けたので、人前に登場するときはいつもこの服装なんだそうですよ。キャラ立ちしているのも、フリーで活躍するときには、すぐに「あの人に頼んでみよう」と思い出してもらえそうで、大事そうですね。
池先生は、本職はソフトウェア・サービスの検証やディレクターというような仕事でサラリーマンをしながら、副業として、PCや各種ガジェット、ゲーム、おもちゃのレビューや業界動向、インタビュー、eスポーツレポートなどの記事を書くライター(副業ライター)として活躍されています。YouTubeの出演もあるそうですよ。
池先生はVisualBasicで開発する会社員を振り出しに、Microsoft社でMicrosoft Excelのβ版やハードウェアクオリティラボでのWindows認証にかかわる検証(テスト)の派遣社員から社会人生活が始まったそうです。
最初のフリーランスは、大手ソフトウェアエンジニア派遣・ソフトウェア開発企業のCSKの子会社との検証の仕事の業務委託を経験してから、当時友だちとなった日経BP社の方の紹介で、ライターとなり、原稿料月額固定で日経BP社に毎日通勤するライターとなったこと。ただ、ここでは毎日会社に通勤して働くことから「フリーランス」感はまだなかったようです。
その後いよいよ独立して、自宅でライティングをするフリーランスになったそうです。
ところが、フリーランスになったものの、フリーランスはなかなか甘くはなかったそうです。最初は月10万円程度の固定依頼のみで、最初は悠長に構えていたものの、どんどん貯金がなくなっていくのに気づいて、自ら営業活動を開始したそうです。イベント取材で、会場にいるフリーランスや編集の方に雑談タイムに「逆取材」をかけたそうです。このときにいろいろな人脈が築けたそうで、雑談・人脈は大事だなあといまでも感じるそうです。
ライターだけではなかなか食えないことに気づいて、当時仕事をしていた技術系出版社のインプレスの方と相談したところ、AV Watchというオンライン雑誌に誘ってもらったそうです。
ここまで聴講していた筆者は、「あー、これは強いなあ」と思いました。先ほどの雑談で人脈を広げる話もそうですが、友だちや知り合いに自分の事情を打ち明けて、状況を打開するためのきっかけをもらっていらっしゃるんですよね。困ったときにちゃんと人に事情を打ち明けて頼るって、結構人間たいへんです。それがちゃんとできるのは、フリーランスもそうですが、生きていく上ではとてもとても強いものだと思います。お話を聞いていて、「偉い!」と小さくつぶやいて、うなづいてしまった部分です。
それから、精密機器メーカーのキヤノンで契約社員を経験してから、中小の会社で正社員になったとのこと。キヤノンや中小の会社では検証の仕事をされていたそうで、フリーランス時代もそうじゃなかった時代も含めて、それまでの経歴を生かして仕事を見つけていかれたことがわかりますね。
この検証の仕事のかたわら、「ガジェット速報」の「副業ライター」募集の広告に応募して副業ライターを始めたそうなのですが、最終的にそのサイトそのものが終了して仕事がなくなったものの、たまに話をしていた『GAME Watch』編集部からFBメッセージがあって、ライターをしてみないかと誘われて始まったのが、「Grand Theft Auto」のオンライン版の連載。短期連載だった予定がまさかの大ヒットで1年半の長期連載となり、当時よく遊んでいた大型電機店の方に誘われてイベントにも登壇することになり、このイベント登壇時に、例の服装をしたところ大うけし、大会解説などでも活躍するようになったそうです。
池先生は、結構人づきあいが広いことがキャリアを守ることにつながったのがよくわかるお話ですね。
では、フリーランスの技術者やライター向けの仕事マッチングサイトは、フリーランスで働くという観点から見ると、どう評価できるものでしょうか。池先生の周りでも、実際にこれを頼りにフリーランスに転向する人もいたそうです。しかし、マッチングサイト全体でどれだけの案件があるか見えないし、安い案件が多いという全体的印象があるそうです。さらに、仕事や待遇の内容が不透明・実態が見えないことが多く、不安が大きいという印象があるそうです。
フリーランスの仕事を見つけるには、自分自身の武器(強味)をよく認識すること、コネクションを広げることが大事で、さらには、身も蓋もないですが、運しだいという面もあるとのこと。ほかの人ができる仕事でも、その人ならでは!というスタイルがあれば、「この人」指名で仕事がやってきます。仕事以外の趣味の中で積み上げてきたもののなかにも武器があるかもしれません。コネクションという意味では、最近は肩身が狭くなってきたスモーカー同士の交流から人脈が広がることも、また、雑談や飲み会から知り合いが増えていくこともあります。そして、運がよいと、たとえば、人違いから始まった仕事などもあるそうですよ。
人脈の増やし方としては、規模の大小を問わずパーティーに参加するのが一つ。規模が大きいパーティーは人数を集めなくちゃいけないので参加しやすい面があるそうです。SNSで知り合いを広げるということも結構ありますが、コロナ禍が始まってからはあまり動かないようになっているようですね。
池先生のお友達の例も見ると、やはり、いろいろなコネクションを使って、人脈やお仕事を広げていくということが多いようですね。一方で、池先生のお友達の俳優の小手信也さんはフリーランスではあまりうまくいかず、現在の事務所に所属してから大きな作品に出演するようになって存在感を発揮するようになったそうです。環境を変えるのも大事なんですね。
「この話が何かヒントになって、みなさんのよりよい未来をつくっていける助けになれば」と、池先生。今の仕事を大切にやること、人とのつながりを大事にしていくこと・・・などなど、みなさんにとって大事ないろいろなヒントがたしかにありますね。